展示会のブースで、来場者が足を止めてくれる時間は決して長くありません。ここでは仮に30秒として考えてみます。その30秒でノベルティを渡して終わり、名刺は集まったのに会期後のメールには反応がない。ウェビナーでも、画面共有の実演を眺めてもらっただけで、視聴後に何も残らない。どちらも「見せ方」の問題というより、見せた後の設計が抜けていることが多いです。
この記事では、展示会・ウェビナーで製品を短時間で伝え、その場と会期後をつなぐ方法を整理します。要点はひとつで、当日の30秒用と、帰社後に自分で触ってもらう用を、はじめから別物として作り分けることです。
当日の30秒と、帰社後の再現を分けて考える
ブースで説明員が話す内容と、来場者が机に戻ってから見るものは、必要な情報がまるで違います。当日は「何ができる製品か」が伝われば十分で、細かい設定画面はむしろ邪魔になります。一方で帰社後は、上長や情報システム部門に説明する材料が要るので、具体的な操作の流れが必要になります。
1本で両方をまかなおうとすると、当日は長すぎ、帰社後は物足りない、という中途半端なものになりがちです。とはいえ作り分けといっても、同じ記録からステップを削って短尺版を用意するだけなので、手間はそこまで増えません。まず持ち帰り用をきちんと作り、そこから当日用を削り出すのがおすすめです。
ブース常設用:説明員がいなくても自走する短尺
タブレットやモニターに置きっぱなしにするデモは、次の条件を満たしていないとまず触ってもらえません。
- ステップは5前後。最後まで30〜60秒で終わる長さにする
- 1画面で伝えることは1つだけ。説明文は短く、立ったまま遠目でも読める密度にする
- 専門用語を避け、来場者の業務で使われている言葉で書く
- 最後に「詳しい説明を聞く」など、説明員に声をかけたくなる一言を置く
常設デモは「迷わせない」ことが最優先
常設用は説明員が別の来場者に対応している前提なので、途中で意味が分からなくなったときに自力で戻れることが大事です。ステップを進める操作以外に注意を引く要素は入れないほうが、結果的に最後まで見てもらえます。
また、ブースの回線が不安定なことは珍しくありません。読み込みに時間がかかると来場者は待ってくれないので、画像の多い重いステップを並べるより、要点だけの軽い構成にしておくほうが安全です。
持ち帰り用:QRコードで、机に戻ってから触ってもらう
持ち帰り用は、その場で全部見てもらう必要がありません。ブースのパネルや配布物にQRコードを印刷し、共有リンクへ飛ばします。閲覧者はログイン不要で、スマートフォンからでもそのまま開けます。作成にはChrome拡張「Sawatte Capture」が必要ですが、閲覧側は普通のWebページなので、相手の端末やブラウザを選びません。
ステップ数は10前後にして、社内で回覧されることを前提に書きます。「この画面で何が嬉しいのか」を各ステップに一言添えておくと、ブースにいなかった上長が読んでも意味が通ります。動画を配るか触れるデモを配るかで迷う場合は、更新のしやすさや閲覧者の自由度で比べた「デモ動画 vs インタラクティブデモ」の記事を参考にしてください。
リードは、体験した直後に受け取る
名刺交換だけに頼ると、会期後のフォローで温度差が分かりません。デモの終わりにリード獲得フォームを置くと、実際に触ってくれた人からその場で連絡先を受け取れます。フォームはスターター以上のプランで使えます。
項目は氏名とメールアドレスから始めるのが無難です。展示会の来場者は歩きながら入力するので、項目が増えるほど途中でやめられます。集まった連絡先は管理画面で一覧でき、CSVで書き出して営業リストや顧客管理に取り込めます。位置と項目数の考え方は「リード獲得フォームの設計」の記事にまとめています。
ウェビナーは、生実演のリスクを先に外す
ウェビナーの実演は、事故が起きやすい場面です。回線が不安定になる、検証環境のデータが用意した状態と違う、本番データを共有画面に映してしまう。どれも当日その場では取り返しがつきません。
事前に収録した触れるデモで流れを見せると、少なくとも回線と画面の中身は自分で制御できます。写り込む個人情報は黒塗りで消せるので、実データを扱う画面を見せるときの不安も減らせます。なお黒塗りはスクリーンショットに焼き込む方式のため、HTML表示のステップでは効きません(編集画面で警告が出ます)。隠したい情報が写る画面は、そのステップの表示方法を「スクショ」に切り替えてから黒塗りしてください。ブランドや世界観を伝える部分は動画、操作の理解は触れるデモ、と役割を分けておくと準備そのものが楽になります。
そのうえで、質疑応答の時間には視聴者に共有リンクを配り、自分で触ってもらいます。話を聞いた直後は関心が高いので、「後で送ります」より当日渡すほうが開かれやすくなります。
会期後のフォローまでを一本の線にする
会期後のメールは、当日話した内容を思い出してもらうところから始まります。本文にデモのリンクを1本だけ置き、次の一歩を1つに絞ると読み手の負担が減ります。初回接触やフォローの文面の型は「営業メールにデモを添える」の記事にまとめています。
共有リンクはいつでも無効にできますし、有効期限を設定することもできます。会期限定の内容を配ったあとに止めたい、といった運用にも対応できます。配ったきり管理できないリンクを増やさないという意味でも、期限は最初に決めておくのがおすすめです。
まとめ
展示会・ウェビナーで大事なのは、当日の30秒と帰社後の再現を別々に設計することです。ブース常設用は5ステップ前後の短尺、持ち帰り用は10ステップ前後にリード獲得フォームを添える。この2本立てなら、同じ記録から作り分けられます。
準備は問い合わせ不要のセルフサーブで始められるので、次の展示会に間に合わせたい場合でも、最短5分で最初のデモを公開し、社内で叩くところから着手できます。