SaaSは「使ってみないと価値が分からない」製品です。だからこそ無料トライアルが定番になったわけですが、検討者からすると、登録してアカウントを作り、初期設定をして、ようやく画面が見えるまでの道のりは決して短くありません。多くの見込み客は、その手前で他社の比較サイトに戻っていきます。
インタラクティブデモ(触れるデモ)は、この「登録前の空白」を埋めるための手段です。ただし、闇雲に1本作れば効くというものではありません。この記事では、SaaSの製品デモを「登録前」「トライアル中」「商談中」の3タイミングに分けて設計し、同じ素材を使い回す運用に落とすまでを整理します。
デモの役割はタイミングごとに変わる
同じ製品デモでも、見る人の状態が違えば必要な情報は変わります。まだ課題の言語化すらできていない人に、権限設計の細部を見せても響きません。逆に商談まで進んだ担当者に、トップページの説明から始めては時間の無駄です。
そこで、以下の3タイミングを最初に切り分けます。ここを混ぜたデモは「長いのに何も分からない」という評価になりがちです。
- 登録前(LP・比較検討)=「これは自分たちの課題に効くのか」を判断させる
- トライアル中(初期設定〜初回利用)=「最初の成功体験まで最短で連れていく」
- 商談中(提案・稟議)=「自社の業務フローに当てはまるか」を確認させる
登録前:中核機能を5〜7ステップに絞る
登録前のデモに機能網羅は不要です。見せるべきは、その製品を象徴する中核フローひとつだけ。閲覧者が「あ、これなら回る」と感じる瞬間まで最短で連れていきます。
目安として5〜7ステップ。ステップが増えるほど途中で閉じられる可能性は上がるため、機能の説明ではなく「1つの業務が終わるところまで」で区切ると自然にこの長さに収まります。CTAは無料登録か資料請求のどちらか一方に絞ってください。選択肢を2つ置くと、どちらも選ばれにくくなります。
設置場所はLPのファーストビュー直下か、料金表の直前が有力です。閲覧者はログイン不要でその場でさわれるので、ページを離れずに体験が完結します。埋め込みの設計や離脱ポイントの見方は、LPに触れるデモを埋め込む記事にまとめています(サイトへの埋め込みはプロプランの機能です)。
トライアル中:最初の成功体験までを1本に
トライアル登録の直後は、期待値がいちばん高く、同時にいちばん脱落しやすい時間帯です。ここで必要なのは製品の全体像ではなく、「初回ログインから、価値が出る1回目のアウトプットまで」の道案内です。
アカウント作成メール、初回ログイン後の案内メール、ヘルプ記事の冒頭。こうした既存の接点に触れるデモのリンクを添えるだけで、文章だけの説明よりつまずきを減らしやすくなります。テキストのマニュアルと違い、閲覧者は実際の画面を目で追いながら進められるためです。
なお、アプリ内に常駐して操作をガイドする社内向けのDAP(デジタルアダプションツール)とは領域が異なります。この線引きと現実的な使い所は、SaaSのオンボーディング改善の記事で詳しく扱っています。
商談中:相手の業務に寄せた分岐を持たせる
商談で使うデモは、汎用の紹介デモとは別物です。相手企業の業種や役割に合わせ、「その人が毎日やる操作」を含めておくと、稟議の場でもそのまま回覧してもらいやすくなります。
同席していない決裁者に届く点も見逃せません。商談後のフォローメールに共有リンクを添えれば、担当者が社内で説明する手間を肩代わりできます。営業が不在の時間帯でも、閲覧者がその場でAIに質問できるようにしておけば(プロプランの機能。製品マニュアルは12,000文字まで登録でき、質問は月500問まで)、一次的な疑問はデモの中で解消できます。
商談用は使い捨てになりがちですが、よく聞かれる質問は共通しています。3〜4本の型を用意して複製し、相手に合わせて差し替えるほうが現実的です。
1本を作り回す運用にする
3タイミングそれぞれに専用デモを作る、と考えると重く感じますが、実際には中核フローのデモ1本が起点になります。そこから、ステップを削ってLP用、CTAを差し替えてメール用、冒頭を足してオンボーディング用、と派生させるほうが早いです。
そのうえで、運用を殺すのは「作るコスト」ではなく「維持コスト」です。SaaSはUIが頻繁に変わるため、放っておくとデモの画面だけが古くなり、かえって不信感を招きます。撮り直しても手直しを引き継げる仕組み(プロプラン)を前提にしておくと、更新の心理的ハードルが下がります。
Sawatteの場合、作成にはChrome拡張「Sawatte Capture」が必要です(Microsoft Edgeなど他のChromium系ブラウザでも使えます)。一方で閲覧側は普通のWebページなので、相手のブラウザや端末を問わず開けます。社内標準ブラウザが指定されている企業に送るときも、事前確認は要りません。
まとめ
SaaSの製品デモは、本数ではなくタイミング設計で効きが変わります。登録前は中核機能を5〜7ステップで、トライアル中は最初の成功体験まで、商談中は相手の業務に寄せて。この3つを区別し、1本を派生させる運用にすれば、少ない工数で全フェーズをカバーできます。
続きとして、オンボーディングでの使い所はSaaSのオンボーディング改善、LPへの設置と改善ループはLPに触れるデモを埋め込む方法、質問への一次対応は「聞けるデモ」の記事をご覧ください。Sawatteは問い合わせ不要のセルフサーブで、円建ての公開価格から始められます。